昨年度の業務を振り返る①-博論の執筆と仕事の効率化―

 昨年6月に本ブログを書き始めたものの、その後公私ともに激務となってしまい、ブログを書くことができなくなってしまいました。現在は多少落ち着いたので、今まで書けなかった分として、昨年度の業務を振り返っておこうと思います。第一弾として、激務の最も大きな要因であった、「博士論文(以下、博論)の執筆」と、そのために仕事を効率化する必要性にせまられていたので、そのことについて書きたいと思います。


** 博士論文の執筆は、とにかくハード

 昨年度までは、博士課程に在学中の身で(いわゆるオーバードクター)、非常勤講師をしている状態でした。特に昨年度は博論を提出する年度だったため、研究と非常勤(+α)の仕事の両立は、困難を極めました。
 非常勤の場合、コマ数をある程度持たないと生活が成り立たないため、授業のコマ数や他の仕事を減らすことはできません。そして、人として当たり前の事ですが、家庭があれば、それを疎かにすることもできません。家庭・仕事を持ちながら、自分がやりたくて始めた研究、そして博論の執筆。これまでも、ある程度計画的に書き進めていましたが、いざ完成させるとなると、今までとは比べものにならないほどのエネルギーと集中力、そして思考や作業をするための時間が絶対的に必要だということを痛感しました。これまで先輩方にさんざん助言を受けていましたが、心のどこかで「そこまで言うほど大変ではないのでは?」と思っていました。でも、それは大きな間違いでした(助言をしてくださった先輩方や先生方、この場を借りて深くお詫び申し上げます)。
 なぜ、私が博論の執筆に対して少し甘く見ていたところがあるかというと、数年前まで中高の専任教員をしながら研究活動を行っていたからです。教員時代は、研究に費やせる時間が非常に限られており、まともに机に向える時間がなかったため、通勤時間をフル活用して文献を読んだり論文自体の下書きを書いたりしていました。昨年度に関しては、中高の教員時代よりは絶対的な時間はありましたが、それでも博論を仕上げるには全く足りないと感じていました。
 とにかく期限までに博論を書き上げねばならず、それには根本的に日々の生活を見直すしかなかったのです。そこで着目したのが、日々の業務である非常勤の仕事でした。それを効率化できれば、博論のための時間が捻出できるのではないかと考えました。


** 時間の捻出―非常勤の仕事を効率化する工夫―

 非常勤の仕事をなんとか効率化できないかと考えたものの、授業内容について考えたり、それについて調べたりする時間は削れません。そこで、特に「自分以外の方でもできることは何か」に焦点を当てて、検討してみた結果、次の3点を実行してみました。


「印刷サービス」が利用できる大学は利用し、なるべく自分で印刷しない。

2翌週の授業の準備は、その授業が終わった後なるべくすぐ行う。

大学のシステムをフル活用する。

 まず1について。大学の非常勤の場合、週に1回出勤するというケースが多いため、授業当日に資料等を印刷することが多いです。しかし、資料を印刷するにも、コマ数や履修者の数にもよりますが、30分~1時間くらい要することがあります。その時間をなんとか博論の執筆に当てたかったので、事前(講義の1週間前)に依頼すればスタッフの方が印刷をしてくださる大学では、「印刷サービス」をとことん利用しました。その分、授業の準備自体を早くしなければなりませんが、あらかじめ配布する資料が用意できている場合は、それだけでも印刷をお願いしました。その結果、印刷に費やしていた時間は勿論ですが、①何よりも授業の準備がある程度終わっているという安心感(心の余裕)が得られ、➁(印刷機が混みあっていることに鑑みて)印刷のために早く出勤しなくてもよくなり、③したがって、家にいられる時間が1時間以上増えた という成果がありました。

 2については、その授業が終わった後すぐだと、その授業のモードになっているので、授業の片づけをしつつ、翌週の資料の準備ができます。大学にロッカーがある場合は、そこに昨年度と同じ科目を担当する場合は、昨年度の授業で使用したプリント類のファイルと今年度のファイルの両方を置いておき、手直しをしながら資料を用意することにしました。情報が古くなっているものもあるので注意が必要ですが、1週間以上前にチェックする習慣ができたので、慌てて調べる時間をとらずに済むようになりました。

 3については、その授業用のサイト(レジュメ等がアップできるもの)が利用できるところがあります。今までは、授業のコメントを次週にまとめてプリントして配っていましたが、どうしても次の授業の直前でないと用意できないほど手間がかかります。まず、学生さんのコメントをすべてチェックしたあと、学生から出た意見や感想、質問等をピックアップしてプリントにし、それを印刷するからです。そうなると、授業当日どうしても印刷をしなければならず、そうであれば、他の物も自分でやった方がいいという考えで、今までは自分で印刷していました。ただし、昨年度はとにかく時間が欲しかったので、フィードバックは印刷をせず、授業ではスクリーンに提示しながら口頭で紹介し、授業の後に学生さんが各自ダウンロードできるようにしました。学生さんにとってもさほど不自由ではなかったようで、以後この方法を採用しています。

 無事この3月で博論からは解放されましたが、研究者たる立場故、研究と授業(や他の業務)との両立は必須です。さらに工夫できないかを考えていきたいと思います。