大学非常勤講師が「研究」を仕事にする方法~その②~

大学非常勤講師が、「研究」を仕事にする方法として、前回のブログ(「大学非常勤講師が、「研究」を仕事にする方法~その①~」
)では、自分の研究に関係する研究所で仕事をするという方法を紹介しました。今回は、「研究している行為自体を仕事にする」という方法です。

非常勤の研究員になるという方法

非常勤講師をしながら、研究している行為自体を仕事にする代表的な方法は、日本学術振興会特別研究員(いわゆる(PD・DC2・DC1)*1になることです。研究に従事するという名目で、月給(20万円)と研究費(年間150万円)が支給されます。

大学院博士課程に在学している(していた)方なら痛いほどお分かりだと思いますが、日本学術振興会特別研究員になるための審査は非常に厳しく、採択率は年によって変動はありますが、10パーセント台と非常に高いハードルです。しかも、応募にあたっては、大量の書類を書いて出さなければならないため、時間と労力を費やしても、なかなか採択されない、難関なものです。その分、採択されたこと自体が業績・職歴になり、評価されます。

今回ご紹介するのは、非常勤の研究員になるという方法で、私の出身大学院にある制度です。他の大学にも似たような制度があるかは分かりませんが、一例として紹介します。

きっかけ

在籍していた大学のホームページで、研究所Bの特別研究員の公募を見たのがきっかけです。当該年度末までに同大学で博士号を取得見込またはすでに取得した人かつ、大学の教員公募に応募したことがある人(大学専任職に就く意思がある者)に、応募する資格があります。また、指導教授に推薦書を書いていただく必要があります。

採択までの道のり

①期日までに書類を提出(1月下旬)
②書類審査の結果がくる(2月上旬)。
③書類審査合格者に対して、二次審査(面接と研究に関するプレゼン)(2月中旬)
④採択結果の通知(3月中旬)
⑤採択(4月~)。任期は1年間(さらに1年まで更新可)

仕事内容

自分で定めた週1日のうちの2時間、同大学内または図書館や研究機関等で、応募時に提出した研究の調査・研究に携わることです。
年度途中で中間発表をするようです(初年度なので、まだ分かりません)。

メリット

研究・調査をすることでお給料がもらえる点。大学院生までは、学業として無給でやっていたことで、お金をいただけます。すごく有り難みを感じています。給与は、だいたい、非常勤講師の1コマ分と同じくらいです。

②必ずしも大学に出勤して、研究をしなくてもよい点。
必要に応じて調査に行けるので、時間も有効に使えます。

研究者番号がもらえる点
私にとって、これが最大のメリットだと感じています。

④研究員あてに、様々な助成金公募のお知らせがいただける。

非常勤講師の仕事と両立できる点。日本学術振興会特別研究員だと、担当できる非常勤講師のコマ数に上限があるようですが*2、研究所Bの特別研究員は、コマ数や他の仕事で得る給与・報酬等に上限はありません。

デメリット

特にないと思いますが、強いて言えば、どこの大学にもある制度とは限らないと言うことでしょうか?

それから、審査・試験が必ずしも易しくありません。5人程度採択のところ、50人ほど応募してきたという話を聞いたことがあります(自分の時の倍率は全くわかりません)。少なくとも、2次でも2倍以上はありますし、プレゼンや面接も本格的にやるので、入念な準備は必要だと思います。

研究所Bから、中間発表で研究成果があまりに出せていないと、研究員の資格を失うことがあると説明されました。普通に取り組んでいれば、まず問題ないかと思います。


私も、大学のホームページで確認するまで、このような制度があることを知りませんでした。大学の職員さんからも、「非常勤1コマ分程度のお給料しか出なくて申し訳ないです」と言われました。ですが、たとえ2時間/週と言えども、研究の時間が確保でき、お給料までもらえるのは、まだ専任職を得ていない身分には、優しい制度だと思います。

自分の在籍または出身大学に、このような制度があるか、ホームページ等で確認してみてはいかがでしょうか?もしあるのであれば、応募することを強くオススメします!これも職歴になるので、キャリアにはプラスになるからです。

*1:詳しくは、 https://www.jsps.go.jp/j-pd/pd_gaiyo.html参照

*2:日本学術振興会特別研究員の、「遵守事項および諸手続の手引」(https://www.jsps.go.jp/j-pd/data/tebiki/h31/h31_tebiki.pdf によると、具体的に何コマまでということは明記されてませんが、研究に支障がない範囲でやっていると判断される範囲と説明されています。