大学非常勤講師が「研究」を仕事にする方法~その③~

 前回、前々回のブログに引き続き、「大学非常勤講師が「研究」を仕事にする方法」です。その①では、自分の研究に関係する研究所で仕事をするという方法、その②では、研究している行為自体を仕事にするという方法を紹介しました。今回(その③)は、ずばり、 研究を事業にしてしまうという方法です。

 

研究を事業にするとは?

 大学非常勤講師は、その多くが研究者です。私も、自分自身を大学の非常勤講師であり、研究者だと思っています。例えば、レストランのシェフが料理をつくること、映画監督が映画を製作することが本業であるように、研究者にとっての本業は、研究をすることです。

 

 研究者にとって、研究をすることが本業なのは納得いただけると思いますが、研究をしても、いくつかの例外を除き、それ自体でお金は稼げないのでは?と不思議に思われると思います。

 そこで、映画監督さんを例に考えてみましょう。映画監督さんが、映画を製作する作業をし、作品が完成したとします。ですが、作っただけではお金になりません。むしろ、映画製作のための経費が莫大にかかり、赤字です。その映画を作品として世に出し、多くの方に見てもらい、興行収入を得ることで、お金を稼ぐことができます。

 

研究についても、同様です。研究をして研究成果を論文にする、あるいは学会発表をしただけでは、お金にはなりません。むしろ、研究のための経費がかかり、赤字です。でも、その研究成果を著書・テキストやコンテンツ等にし、買ってもらうことで、収入になります。

 

研究の事業化って、具体的にはどういうこと?

①研究費の獲得

 研究という事業にするには、事業をするための資金研究資金(研究費)を何らかの形で得る必要があります。この研究資金を得ること自体が、事業をしていることになるという考えです。

 研究資金を獲得するには、いわゆる科研費を申請するという方法の他に、民間企業や財団の研究資金の公募、公募懸賞論文等(例えば、最優秀賞◯◯万円など)があります。

 ちなみに、私が獲得したことがある研究資金は、以下のとおりです。

  • 大学から研究室単位で配分されている研究費の一部(休学していない博士課程限定)*1
  • 科研の研究代表者の方の協力者という形で、その方の経費の一部
  • 民間の研究所の公募論文採択

 上記のものは、いずれも研究者番号がなくても獲得できるものです。研究者番号がを取得したら、科研費関係の助成金に応募していけばいいと思います。私は、今年の4月に初めて研究者番号がもらえたので、今後チャレンジしていきます。

 

 専業大学非常勤講師または専業に近い方だと、研究者番号を持っていないというケースが多いかと思います。ですが、研究者番号がなくてももらえる研究資金はあるので、自分の研究テーマに即して、研究資金が得られそうなものに、ドシドシ応募してみるのがいいと思います。

 

②研究成果を「商品」化

 代表的なものは、研究をして論文や学会発表したものを、書籍として出版したり、担当している授業に関連するテキストを書いて出版することです。ただし、学術書の場合、著者の持ち出し(経費を負担)になるので、書籍が売れることで収入を得るまでには至らないかもしれませんが、立派な業績になります。大学の専任職に就きたいと思っているなら、単著はマストと言っても過言ではないと思います。

 私の場合、授業で使うテキストを共著で1冊書かせていただきました。一定数以上の売上を上回れば、プラスになった分÷著者の数分の印税が入るという説明を受けました。現時点では、共著からの収入はゼロですが、淡い期待をしています。単著は、今取り組んでいるところです。

 

③研究成果及び自分の専門知識等を活かして、仕事を受ける

大学非常勤講師は、専門家であることから、研究成果や専門知識を必要とされることがあります。オファーがくることもあれば、自分から売り込むという方法があります。私が今までやった仕事は、以下のとおりです。

 

  • 高校生用のワークの執筆(高校教員の経験を活かして。1冊あたり◯円、納期が◯ヶ月という契約)。
  • 専門的知見の提供科研費の研究代表者の方に、専門知識を提供(つまり、専門にかかわる講義の類)。1回◯時間で、◯円というもの)。
  • 単発のコンサル(学校現場にいた経験による知見を、メーカーの方やコンサル会社の方が必要としていることを教える。1回◯時間で、◯円というもの)。
  • 教育関係のサイトのコラム執筆(教育に関するライターを募集していたので、自ら応募。1コラムあたり◯円という契約)。

 

 基本的に単発の仕事ですが、チリも積もれば山となるし、何より自分のキャリア・研究・専門知識が活かせます。

 これ以外に、自ら企業に提案して、仕事をさせてもらえるように交渉している案件があります。その仕事が決まったら、このブログでご報告させていただきたいと思います。

 

 以上、「大学非常勤講師が「研究」を仕事にする方法~その③~」として、研究を事業にしてしまうという方法をご紹介しました。私がやっていることは、決して珍しいことではありません。当ブログをお読みいただいている方の中には、すでに実践されている方もいらっしゃるのではないでしょうか。一つ一つの仕事は、全く儲けがなかったり、少額だったり、効率がよくないかもしれません。私も、最初の頃は、研究=事業という意識をせずにやっていましたが、事業として意識してやることで、もっと力を入れて頑張ろうという気持ちになっていき、何より日々充実しています。

 

これからも、「研究」を仕事にする方法を、いろいろ試していく予定です。この場を借りてご報告できるよう、楽しんで頑張ります!

 

 

 

 

 

 

 

*1:希望者が手を挙げ、配分されている金額を応募者で分け合うもの。年度によって金額に差がありました。もらえない年もあります