授業に欠かせないアイテム―”リアペ”について―

大学非常勤講師のメインの仕事は、何と言っても授業です。

授業は、研究者・専門家として、知識を還元するという意味でも大事な仕事です。

先生によって、授業への思い入れやスタンスはだいぶ違うと思うのですが、私の場合・・・

授業=学生の問い・思いに応える場

だと思っています。授業を通じてどうやって学生たちに応えているのかついて、書きたいと思います。

学生を知る

学生の問い・思いに応えるには、それを知らなければできません。それを知るために、毎回の授業で、必ずリアクションペーパー(以下、リアペ)や小レポートを書いてもらっています。B6サイズの大学もあれば、A4サイズの大学もありますが、いずれにしても、学生たちにはしっかり(たっぷり)書いてもらっています。
(特にA大学の皆さんは、A4サイズなので大変ですよね。よく頑張って書いていらっしゃると思います)。

私は、このリアペの類を、とても重視しています。授業をする上で欠かせないアイテムです。

f:id:maemuki-koushi:20191120222340j:plain


先生によっては、ざっと読まれる方がいらっしゃるかもしれません。が、私は
全員分、くまなく読み、チェックしています!


それはなぜか?

一つは、授業をどう受け止めたかを知りたいから。つまり、自分の伝えたいことがちゃんと伝わっているのかを確認するためです。

そして、もう一つが、学生はどんな問い・思いを抱いているのかを知りたいから。


今学期は6コマ授業を持っていて、総勢250人以上は担当していると思うのですが、全員分読んで、次回の授業でフィードバックをしています。手書きで書いてもらっているので、その方の字・お名前・書いている内容は一致しています。
リアペからは、その学生さんが、どんな人となりなのか、どんな考えをお持ちなのか、どんな悩みを持っているのかもよーく分かります。ちなみに、リアペを提出してくださる時に、なるべく顔と名前を覚えるように努力しています。

その証拠に、数年前に担当していた学生さんに学内で会って、「(私のこと)覚えていますか?」と聞かれても、「覚えてますよ。△△さんですよね。●●って書いてくださった方ですよね?」と答え、心底驚かれます。これは、私なりの誠意です(笑)。

学生さんからの問いには、「授業」自体で応える

リアペに書いてくださったことに対しては、翌週の授業で答えますが(質問事項など)、それだけでは、彼らの思いには応えられません。
特に、心に留まったコメントに関しては、授業を介して応えるようにしています。つまり、学生さんからの反応によって、組み立てていると言うことです。

ある学生さんからの忘れられないコメントの一つが、下に示したものです。

高校生の時に先生がご病気でお亡くなりになったことがあったそうで、
「どうしてあの先生は、自分の命を削ってまでも教壇に立っていたのか。命を削ってまでやる教師という仕事とはいったい何なのかを知りたいと思って、この授業を履修した」
というコメントでした。

それを読んだときに、私は自分の授業を通じて、「命を削ってまでやる職業である教師の仕事」とは何か、自分に問い続けました。ですが、簡単に答えは出ませんでした。
でも、その学生の知りたいという思いには応えたいと思った私は、とにかく一生懸命、彼らの問いに応える姿を見てもらうしかないと思ったのです。だから、一生懸命リアペに目を通し、気に留まるようなことが書かれていれば、そのトピックを扱ったり、時にはその学生さんに個人的に声をかけて応えるようにしています。

授業は、あくまで自分らしく

専門の関係上、授業の仕方自体(授業の方法)を教えることがあります。学生さんに模擬授業をしてもらうと、理想の先生の授業や良いなあと思った仲間の授業をまねしがちです。理想をまねしようと思って、自分のものになっていないと、伝えたいことが全然伝わらないと言うことは良くあります。

自分らしく授業をすることがとても大切なのですが、そう簡単なことではありません。
特に学生さんにとってはなかなか難しいことだと思ったので、「自分らしい」ことを、どう授業にしていくかを考えてもらうことにしました。

詳しくは、こちら⇓

tachibanashi.hateblo.jp

私にとって、自分らしく授業をするために必要なアイテムが、この”リアペ”かもしれません。
授業をする講師のほうも、授業を受ける学生さんにとっても授業が有意義であるために、”リアペ”を有効活用しない手はないと思っています。