専任教員との格差是正の可能性(所得編)

大学非常勤講師と専任教員の所得格差

専業非常勤講師(大学の非常勤講師の仕事のみで生計を成り立たせている者)と専任教員とでは、同じ授業のコマ数を持っていても、大きな給与格差があります。専業非常勤講師の場合、1コマあたり年間30万程度(自分の経験、耳にする範囲では20万円台の大学も)なので、仮に専任教員が担当するコマ数と同程度の週あたり6コマ担当だとすると、約180万円です。

 

実際には、6コマ持たせてもらえるのは恵まれているほうなのです。もっとコマ数が少ない、あるいは1コマあたりの単価が安いということが多いです。ただ、6コマより少ないと、他の仕事をしないと生活するのが難しいので、他の仕事もしているかと思います。

 

したがって、専業非常勤講師の場合の年収は、200万円弱から多くても300万円くらいではないかと思います。

 

一方、平成30年の大学教授の平均年収は、約1000万円だそうです(参照:https://careergarden.jp/daigakukyoujyu/salary/)。

 

これはあくまで教授の場合であって、専任教員でも助教、講師、准教授は、それよりも(もっと)少ないです。また、国立・私立の別、大学によっても大きな差があります。

 

大学の専任教員と非常勤講師では職務の範囲が違うので、一概には言えませんが、非常勤と教授では5倍以上も給与に格差があるのは、あまりにも大きいです。例えば、同じ大学の同じゼミ出身で、論文本数等業績に差がなくても、非常勤講師と専任教員とではこれほどの所得格差が生まれてしまいます。そのことから、他の職業の正規・非正規以上に注目が集まるのだと思います。

 

所得格差の是正の可能性を模索して

私はこの問題に対し、大学非常勤講師である立場から、私事として真剣に考えてきました。まさに自分を実験台にして、所得格差の是正に取り組んできました。

詳しくは、以下のブログ参照↓

 

maemuki-koushi.hatenablog.com

maemuki-koushi.hatenablog.com

maemuki-koushi.hatenablog.com

 

 

結論としては、非常勤講師を6コマ程度担当できるようにし、かつ自分の研究分野や担当授業となるべく関連する仕事をするという考えに至りました。つまり、専任教員の授業以外の時間を、研究や専門に関わる仕事に当てるということです。

 

ただし、研究に関する仕事は専門性が高く、企業や研究所等に雇ってもらうことは狭き門です。

 

そこで私が行き着いたのが…

  1. 非常勤の研究員や民間の研究所での仕事を得る。
  2. 個人事業主になる。

の2つでした。研究に関する仕事がないなら、自分で仕事をさせてもらえるよう交渉するか、自分で生み出すしかないと思ったのです。

 

「研究」「専門」に関する仕事を、副業に

とはいっても、研究や専門が生かせさえすれば、何でも良いというわけではありません。大学の授業担当者かつ研究者としてのアイデンティティーがあるので、今の自分にとっては、大学非常勤講師の仕事が主であることに変わりありません。

 

そこで、私は、大学非常勤講師の仕事を軸に、少しずつ「研究」「専門」を生かす仕事を見つけて取り組みました。つまり、「副業」としてやることにしたのです。

 

最低限の生活費は大学非常勤講師の給与で賄い、あとは「副業」から得るようにしました。もちろん、研究費もそのうちの一つです。

本業を大切にするというプライオリティ

 

大学非常勤講師の仕事は2016年度からはじめましたが、非常勤講師の仕事に慣れた頃で区切りが良かったことから、2016年12月末に個人事業主届をし、2017年から個人事業主になりました。

 

ただ、個人事業主の仕事を頑張ってしまった結果、大学の授業や研究に差し障ることだけはしないように心がけていました。特に、個人事業主の仕事のために、博士論文が書けなくなる、あるいは提出が遅れるということは、何が何でもしないというプライオリティを守りました。

 

なので、私が個人事業主として取り組んでいる「研究」「専門」の仕事は、決して多くなく、稼げているわけではありません。特に、今年の3月に学位を取るまでは、かなりセーブしてやってきました。「事業」にある程度着手できる状況になったのは、今年度(2019年度)からです。

 

今、事業でも、もう少し収入を増やせないかと考えていて、少しずつ行動に移しています。それについては、近いうちに書きたいと思っています。